はぐれ刑事

見つけた、ぞ…Spookey Ruben…。
アレは貴様の、「These Days Are Old」という…曲なんだ…。
「Modes Of Transportation」の中に入っているなぁー!!!!


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あれは僕が眠りに就こうと布団に潜り込んだ時だった。
枕元で聞き馴れた着信音が鳴り響いた。キンちゃんだ。
メールの文面はこうだった。

『うちに写真のCD-Rって何枚くらいくれたっけ?』

そんなの憶えている訳もなく、
夢を見る前の楽しい文字のキャッチボールを楽しんでいた。
そんな中、彼女が突然、こう切り出してきた。

『あのさ、所さんのダーツの旅の音楽インターネットからおとせませんか?』

おいおいおい、僕が使っているのがマックだってしってるよね?
僕はXPはやらないし、今後もやるつもりはない。

『題名と人だけでもわかんないかな?』

しょうがない困ったちゃんだぜ、どれ、チョチョイっと…、
おや?公式ページは無いのか…、ではこっちの着音サイトから…、
ゲバゲバ90分」?そうだな…、2chはどうだ、
「ダーツ協会」?おかしい、全く姿が見えないじゃないか。

『急いでないんでいっすよ☆』

ふっ、ここまで来て下がっては、男が廃るってモンさ。
この程度、僕にとって朝飯前も同然だぜ!
何が何でもシッポを掴んでやるぞ、怪盗・アール!!


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「その後、彼は怪盗・アールを見つけたわ…」
都心部に位置するその高層マンションのベランダは風が強く、
干してある真っ白いシーツが派手にはためいている。

「どうやって…見つけたんですか…!」
男は抑えきれないというような口調で尋ねた。
新人の刑事だ。真新しいコートはまだ少しタンス臭い。
彼はこの事件が初の本捜査である。

「彼が見つける直前、そう…つまり死ぬ直前ね…、
私は言ったわ…無理しないで…って。
でも彼、止めれなかった…宝探しに行く子供みたいに眼を輝かせてるのよ…」
そういうと彼女は少し笑った。
夏を予感させる雲が、彼女のサングラスに写り込んでいる。

「どうやって見つけたか…それを知ってるのは彼だけよ…、
でもあの雨の朝、ボロキレみたいになって彼…、
笑ってたわ、『朝飯前にちゃんと帰って来たぜ…』って…。」

「遺留品に特別なものがあったと…」
「あの時の彼なら何でも特別よ。ただのノートのきれっ端に
あの曲しりたい♪』って書かれたものでもね…。」
そういうと、彼女は胸のロケットからその紙を取り出した。
「ここに"全て"がある…あなた、私と一緒に戦ってくれる…?」
鳥の落とした影が2人の間の床を滑る。

「行きます!」
そして、ここから刑事・ケンの奇妙な調査ファイルが始まったのである。


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