東京サテライツ 第六話

『ショウコ』の少女が静かにお茶を煎れる。

「…どうぞ」

「ありがとう…さて。」

『キョウコ』の男は茶を一口啜り、口火を切った。

「まずは、彼女の名前をハッキリさせよう。偽名を使うような理由の…」

「ンな事よりアタシが貸したまんまのカネのほーが重要だろが!
80万!どっから出てくんだよ!大体この家の人間はいねーのかよ!」

『リョウコ』の女が塗り潰すように怒鳴り散らす。

「静かにしないか、紛いなりにも葬儀中だぞ。
…まぁ…私も気にはなっていたが、この家には、ご両親などはお住まいではないのか?」

「いないよ」

ボソリと、重く鉛の様に『チョウコ』の青年が呟いた。

「両親はいない。なんでいないのかまでは知らないけど…
ここにはチョコタン独りで住んでたよ」

「…あ…お茶…勝手に煎れちゃった…」

「茶ぁ位なら別にどーって事無ぇんじゃねー?あんまイイ茶でもなさそーだし…
ってチョット待てよ!じゃあなんだよこのゴリッパなオソーシキセットは!?
誰が準備したってんだよ!?」

「…葬儀屋さんが来て…やってました…」

「そーいう意味じゃなくて!
東大寺を建立したのは?』って問題に『大工さん』的な意味じゃなくてッ!」

「意外とそういう知識はあるんだな」

「うるせー!」

「…えと…コレ…」

「アァ!?…封筒?」

その封筒の中から出て来た書類によって、
彼らはお互いの名前を知る事になる。

『いしょ』

キラキラ輝くビルたち。

お祭りみたいににぎやかな街。

モデルみたいにカワイイひと。

モデルみたいにカッコイイひと。

トーキョーの中でクルクル目を回してるだけで、

あたしもトーキョーの仲間入り。

そんな気がしてた。

でも違ったみたい。

それじゃあね、バイバイ。

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「…え?」

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