小説

東京サテライツ 第六話

『ショウコ』の少女が静かにお茶を煎れる。「…どうぞ」「ありがとう…さて。」『キョウコ』の男は茶を一口啜り、口火を切った。「まずは、彼女の名前をハッキリさせよう。偽名を使うような理由の…」「ンな事よりアタシが貸したまんまのカネのほーが重要だろが! 80万…

東京サテライツ 第五話

わざと足を鳴らして歩く。 古めいた板張りの廊下がギシギシ悲鳴を上げる。 線香のジジ臭ぇ匂いの漂ってくるフスマに標準を定める。 「ぶっコロす」 そう小さく呟いて、猪木の逆水平チョップみたいに、元気に、馬鹿になるみたいに、 アタシはそのフスマをぶち…

東京サテライツ 第四話

「ネットアイドルのチョコタソさんをご存知ですね?」 日曜の朝っぱらにいきなり投げ掛けられたこの言葉に、オレは少なからずムッとした。 まず第一にファンクラブナンバー1番の俺がチョコタンを知らない訳ないだろが。夢野蝶子22才、趣味はイラスト・ポエム…

東京サテライツ 第三話

初めて入ったキョウコの家は、 いつも運転席から眺めていた外観よりも古風で、 それが、こっそりと彼女をまた一つ知る事が出来た]]ようで、 なんだか嬉しかった。 葬式でこんな事思うのは、ちょっとおかしいな。 「愛する女性」を失ったショックは、 まだ僕…

東京サテライツ 第二話

雨に滲んだショウコの文字が、 なみだでまた滲んで、 次から次にまたなみだが出るから、 もう全然読めないんだけど、 一生懸命読んだ。 読んでまたなみだが溢れた。目の前の白黒のショウコの笑顔も、 お線香の煙が邪魔してちゃんと見えないし、 もう世界中が…

東京サテライツ 第一話

キラキラ輝くビルたち。 お祭りみたいににぎやかな街。 モデルみたいにカワイイひと。 モデルみたいにカッコイイひと。トーキョーの中でクルクル目を回してるだけで、あたしもトーキョーの仲間入り。 そんな気がしてた。 -